斜鼻とは、文字通り、鼻が曲がっている状態を指し、鼻の手術の中でも最も難しい手術の一つです。曲がっている状態にも、I型、C型、S型などの様々な変形に分類できます。
鼻を強くぶつけたことが原因で鼻が曲がる場合以外に、明らかな原因がなくても成長に伴い鼻が曲がってしまうこともあります。また、斜鼻には、鼻筋に「ハンプ」と言われるコブを伴うことがしばしば見られ、一層鼻の曲がりを強調することになります。
さらに、斜鼻には、単に外見上鼻が曲がって見えるだけでなく、鼻の中の空気の通り道も同時に曲がっていることが多く、この空気の通り道の曲がりが強い場合には、鼻の通りが悪い「鼻閉」と呼ばれる鼻腔通気障害が生じます。
従いまして、斜鼻の治療は、鼻の通りに問題があるか無いかで大きく手術方法が異なってきます。また、斜鼻の原因には、鼻の骨の曲がりと鼻の軟骨の曲がりが密接に関係しているため、斜鼻の原因を一つずつ見落とすことなく系統的に矯正していく必要があります。鼻の骨の曲がりは手術前のCT画像検査などである程度は診断がつくのですが、軟骨の曲がりはCT画像検査では分かりませんので、専門医による診察と手術中の診断が必要とされます。
ここで、当院での斜鼻に対する治療方針・アルゴリズムをご紹介いたします。
鼻の形は、よく三脚に見立てられた理論:トライポッド理論で、説明されます。三脚の一番上に鼻先があると考えて、鼻先の位置はこの三脚の位置と力関係で決まります。手術では、このトライポッド理論にのっとり三脚のゆがみを解消し、鼻先および鼻の形が顔の正中に来るように、またバランスのとれた位置に来るように、一つずつ丁寧に操作を行います。
鼻の曲がりがあっても、鼻の通りに問題がない場合の治療方針を示します。
鼻の曲がりとともに鼻の通りに問題がある場合の治療方針を示します。
鼻の通りに問題がある場合は、鼻中隔弯曲症に代表されるように鼻の土台から曲がっておりますので、土台からの治療が必要となります。
お示しした治療方針からもお分かりになると思いますが、鼻の骨に限局した曲がりであれば、クローズ法で手術を行うことができますが、それ以外の場合はオープン法で手術が行われます。当院でのオープン法の鼻柱の傷跡は、丁寧な操作、縫合により目立たないような工夫をしています。
当院は、あらゆる顔面骨の骨切りを主体とした顔面輪郭専門の美容外科ですので、見た目の鼻の曲がりにとどまらず鼻の通りも良くする鼻中隔弯曲症などの手術も同時に行います。また、耳鼻科でも治すことの難しい鼻腔通気障害に対しても、鼻の専門家が治療を行います。当院のように、鼻の曲がりと鼻閉の改善を同時に治療する美容外科は日本でも数少ないのが現状です。
ハンプ・ワシ鼻切除術、鼻骨骨切り術、各種軟骨移植術(鼻中隔軟骨、耳介軟骨、肋軟骨など)、鼻中隔矯正術、下鼻甲介手術
カウンセリングにおいて、斜鼻変形の程度、鼻の通りなどを詳しく伺います。鼻の通りは、自覚的な評価方法として鼻閉症状評価法(Nasal Obstruction Symptoms ewvaluation: NOSE)で評価し、さらにお一人お一人の顔全体の特徴に適した鼻の形をご提案し、最終的にバランスのとれた鼻の形に必要な具体的な手術計画を決定します。
場合により、単に斜鼻矯正術のみでは、眉間から鼻先にかけての鼻筋・鼻背のラインがきれいにならない場合がありますので、その場合は、それ以外の組み合わせる手術方法をご提案いたします。斜鼻の場合に、顔が全体的に左右非対称なことがありますので、治療に限界が生じる場合があります。
手術は、鼻骨骨切り術や鼻中隔矯正術などを行いますので、鼻の中に出血します。従いまして、呼吸の通り道の気道に血が垂れ込みますので、公益社団法人 日本麻酔科学会 麻酔科専門医による安全な全身麻酔で痛みや緊張のみならず呼吸をしっかり管理させて頂きます。
鼻の通りに問題がなく、鼻骨骨切り術のみで斜鼻が矯正できる場合は、鼻の穴の内側の小切開(軟骨間アプローチ)からアプローチするクローズ法で行います。場合により、外側に2mmほどの補助切開からも骨切りが必要になる場合がありますが、この傷は、目立たずに治癒します。
鼻の通りが悪く鼻の曲が軟骨など広範囲に及んでいる場合には、オープン法を用いて行います。鼻の手術は1mm単位以下での軟骨の調整が必要になる場合がありますので、オープン法はこの点で優れています。オープン法の鼻柱の傷跡は丁寧な操作により目立たないようにしております。
術前の相談に基づき鼻の通りの曲がりから鼻全体の曲がりまで系統的に矯正していきます。まず、鼻の通りを改善する手術を行います。鼻中隔弯曲症の場合は、曲がった部分の鼻中隔軟骨を一部切除します。この鼻中隔軟骨の曲がった部分が中抜きされてできた鼻中隔軟骨はL型になります。このL型になった鼻中隔軟骨のことをL-ストラット:L-strutと言います。さらに鼻中隔軟骨の奥の方の骨も曲がっていれば切除します。また、下鼻甲介も肥大している場合には、同時に下鼻甲介粘膜下骨切除または骨折術を行います。
鼻の通りの手術が終了したら、斜鼻を矯正する手術に移ります。まず、鼻骨が曲がっていれば(骨性斜鼻)、まず鼻骨骨切り術を行い、骨を正中化して矯正します。
続いて、軟骨の曲がり(軟骨性斜鼻)の治療に移ります。鼻中隔軟骨は、鼻中隔軟骨の曲がった部分が切除されることにより、真直ぐに近づきますが、曲がりが残っていることも多くあります。この曲がりを矯正するために、採取した鼻中隔軟骨の曲がっていない一部分を鼻中隔軟骨の鼻背側に移植します。この軟骨移植のことをスプレッダーグラフト:Spreader graftと言います。さらに、鼻中隔軟骨の下側の鼻柱の土台になる部分も真直ぐになっていなければ、鼻中隔軟骨を移植して、できるだけ真直ぐにします。
鼻の土台のL型の鼻中隔軟骨が真直ぐになったら、鼻尖形成術などの他の施術に移ります。通常、斜鼻矯正術で行われる治療の内容をお示しします。単なる曲がりのみではなく、鼻の全体的な形態と鼻の通りの改善を両立する包括的な治療を行います。
最後に、丁寧に傷を抜い合わせた後、鼻にテーピングをして、不安定な鼻骨を良い位置に固定するために鼻ギブスを装着します。また、鼻血を抑えるための鼻栓を鼻腔内に詰めて、手術は終了となります。
術後は、全身麻酔での手術ですし、術後2日程度鼻出血があります。術後の鼻出血の管理もありますので、術後2泊程度していただいてからお帰り頂きます。
術後1週後に抜糸と鼻栓を抜去します。また、テープと鼻ギブスを外し鼻の形を確認します。まだ、骨切りした鼻骨が動きやすいので、さらにもう1週間鼻ギブスの装着が必要になる場合があります。
術後最低1~2ヶ月は、鼻かみなど鼻に力がかかることは鼻骨のズレや変形を予防するために避けて頂きます。腫れがすっかり落ち着き手術の効果が安定して表れてくるのは3ヶ月以降になります。斜鼻は、術後3~6ヶ月の過程で、骨や軟骨が元持っている癖に負けて、後戻りする傾向がありますので慎重に経過を見ていくことが重要になります。後戻りが許容できない場合は、再手術は術後6ヶ月以降に慎重に考慮されるのがよろしいかと思います。
カウンセリング | 斜鼻の矯正、鼻の通りのご相談、お見積り、手術日のご相談 鼻の通りが合悪い場合は、斜鼻矯正術と合わせて手術を行うことをお勧めします。軟骨の変形が強い場合は、合わせて鼻尖形成術、鼻尖短縮術どの手術のご提案をさせていただきます。 |
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手術時間 | 2時間~ |
麻酔について | 全身麻酔 |
入院/通院について | 入院手術 2泊3日~4泊5日 |
ダウンタイム | 抜糸:1週間、鼻ギブス固定1~2週間、腫れ/内出血(特に目の内側):1週間~、鼻骨の安定:2~3ヶ月 |
全麻入院の場合 | 斜鼻矯正術 鼻骨骨切りのみ |
¥800,000 (税込 ¥880,000) |
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全麻入院の場合 | 斜鼻矯正術+鼻腔通気改善手術 (鼻中隔弯曲症など) |
¥1,200,000~¥1,500,000 (税込 ¥1,320,000~¥1,650,000) |
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